カリウム摂取量を増やすと収縮期血圧が平均3.49mmHg低下し、高血圧の人では7.16mmHgの低下が見られた(Aburto et al., BMJ, 2013)。日本人は推奨量3,000mgに対し平均2,500mg未満しか摂れていない。
なぜ塩分を減らすより先にカリウムを増やすべきなのか
「血圧が高い→減塩する」という発想は正しいですが、カリウムを増やすことが減塩と同等か、それ以上の効果を持つことが複数の研究で示されています。
日本人の多くは慢性的にカリウムが不足しており(推奨量3,000mg/日に対し平均2,000〜2,500mg/日程度)、野菜・果物・豆類を増やすだけで血圧改善につながる可能性があります。
カリウムが血圧を下げるのはどんなメカニズムか
ナトリウムの排出促進
カリウムは腎臓でのナトリウム(塩分)の再吸収を抑制し、尿中へのナトリウム排出を促進します。これにより体内のナトリウム量が減り、血圧が低下します。
血管の弛緩
カリウムは血管平滑筋に直接作用し、血管を弛緩(拡張)させます。これが血管抵抗を下げ、血圧を低下させます。
自律神経への作用
カリウムは副交感神経を活性化させる作用もあり、心拍数を下げて血圧を安定させます。
研究が示すカリウムの効果はどれほどか
Aburtoら(*BMJ*, 2013)のメタアナリシス(128,644人)では、カリウム摂取量を増やすことで収縮期血圧が平均3.49mmHg低下することが確認されています。特に高血圧の人では効果がより大きく、7.16mmHgの低下が見られました。
またDASH研究でも、カリウム・カルシウム・マグネシウムが豊富な食事(野菜・果物・低脂肪乳製品)が降圧薬に匹敵する効果を示しました。
カリウムが多い食品にはどんなものがあるのか
| 食品 | カリウム量(100gあたり) |
|---|---|
| アボカド | 720mg |
| ほうれん草(生) | 690mg |
| バナナ | 360mg |
| さつまいも | 470mg |
| 枝豆 | 590mg |
| 納豆 | 660mg |
| サバ | 330mg |
特に野菜・豆類・海藻・きのこ類にカリウムが豊富です。日本の伝統的な和食(豆腐・納豆・ほうれん草の胡麻和え・海藻サラダ)はカリウムの優れた供給源です。
注意:腎機能が低下している人は医師に相談を
腎臓の機能が低下している場合、カリウムを排出できずに高カリウム血症になる危険があります。腎機能に問題がある人はカリウムの大量摂取前に必ず医師に相談してください。
よくある質問
Q. カリウムを摂るために野菜をどれくらい食べればいいですか?
A. 1日3,000mgのカリウムを摂るには、ほうれん草1束(200g)・アボカド1個・バナナ2本・納豆2パックなどを組み合わせれば達成できます。意識して野菜・豆類・海藻を毎食に加えるだけで不足を解消できます。
Q. 腎臓が悪い場合でもカリウムを増やしていいですか?
A. 腎機能が低下している場合は高カリウム血症のリスクがあるため、必ず医師に相談してください。腎機能が正常な場合は食事からカリウムを積極的に摂ることが推奨されますが、サプリメントでの過剰摂取は避けるべきです。
Q. 減塩とカリウム増加はどちらが血圧に効きますか?
A. Aburto et al.(2013)の研究ではカリウム摂取増加で収縮期血圧が平均3.49mmHg低下し、高血圧患者では7.16mmHg低下しました。減塩と組み合わせると相乗効果が期待できます。
この記事のまとめ
- カリウム摂取を増やすと収縮期血圧が平均3.49mmHg低下し、高血圧患者では7.16mmHgの低下が見られた
- 日本人は推奨量3,000mg/日に対し平均2,000〜2,500mg/日しか摂れておらず、慢性的な不足状態にある
- ほうれん草・アボカド・納豆・バナナ・枝豆などカリウムが豊富な食品を毎食意識することで血圧改善につながる
参考文献
- Aburto, N. J. et al. (2013). Effect of increased potassium intake on cardiovascular risk factors and disease. *BMJ*, 346, f1378.
- Appel, L. J. et al. (1997). A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure. *New England Journal of Medicine*, 336(16), 1117–1124.