プロテインを飲むだけでは太らない。総摂取カロリーが消費カロリーを超えたときに体脂肪が増えるという原則に従い、プロテインを正しく活用することで筋肉を守りながら痩せやすい体を作れる。使い方と目安量を解説する。
プロテインを飲むと太るというのは誤解だ。ただし、誤解が生まれた背景には合理的な理由がある。正しい理解を持てば、プロテインはダイエットに有効なツールになる。
なぜ「プロテインで太る」という誤解が生まれたのか
プロテインに対するネガティブなイメージの多くは、次の3つの混同から来ている。
①カロリーがあるから太るという誤解
プロテインパウダー1杯(約30g)のカロリーはおよそ110〜130kcal。これを「余計なカロリー」として捉えると太る原因に見える。しかし問題はカロリーの有無ではなく、1日の総カロリーバランスだ。
タンパク質には食事誘発性熱産生(DIT)が高いという特性がある。タンパク質を摂取すると、その消化・吸収・代謝のために摂取カロリーの約20〜30%がエネルギーとして消費される。これは脂質(4〜5%)や糖質(5〜10%)と比べて圧倒的に高い。つまりプロテインのカロリーは、同量の糖質や脂質よりも体脂肪に変わりにくい。
②筋肉が増えて体重が増えたという混同
筋トレと組み合わせてプロテインを摂ると筋肉量が増える。筋肉は脂肪より密度が高いため、同じ体積でも重い。体重が増えたとしても、体脂肪が増えたわけではない。むしろ筋肉が増えれば基礎代謝が上がり、長期的には脂肪が燃えやすい体になる。
③プロテインドリンクに糖質が多かったという問題
市販のプロテインドリンクや、プロテインバーの一部には糖質が多く含まれている製品がある。これらを過剰摂取すると糖質過多になり、確かに太ることがある。ただしこれはプロテイン(タンパク質)が太らせているのではなく、糖質が原因だ。
タンパク質過剰摂取は本当に脂肪になるのか
2012年にアメリカのチューレーン大学がPLoS ONE誌に発表した研究では、過剰摂取されたタンパク質と脂肪と糖質それぞれの体脂肪への影響を比較した。結果として、過剰カロリーの供給源が脂肪・糖質・タンパク質のどれであっても体重は増加したが、体脂肪の増加は糖質・脂肪の過剰摂取の方が顕著だった。タンパク質の過剰分は相当程度が熱産生(体熱)として消費される。
2015年にAmerican Journal of Clinical Nutritionに掲載された研究では、タンパク質摂取量を増やすと満腹ホルモン(GLP-1・PYY)が増加し、空腹ホルモン(グレリン)が低下することが示されている。つまりプロテインを飲むと食欲が抑制され、結果として1日の総摂取カロリーが下がる傾向がある。
どのくらい飲めばいいのか
ダイエット目的でのタンパク質摂取量の目安は、体重1kgあたり1.2〜2.0gとされている。体重55kgの女性なら66〜110gが目安だ。日本人の平均的なタンパク質摂取量は60g前後であることが多く、特に食事制限中はさらに不足しがちになる。
プロテインパウダーはあくまで「食事で不足したタンパク質を補う道具」として使うのが正しい。食事と置き換えるものではない。
タンパク質がダイエットに重要な理由でも詳しく解説しているが、タンパク質は筋肉の合成に必要なだけでなく、代謝を維持するためにも欠かせない栄養素だ。
太りやすいプロテインの使い方と太りにくい使い方はどう違うのか
太りやすい使い方
- 食事に加えて飲む(カロリー過剰)
- 糖質が多いプロテインドリンクを選ぶ
- 運動なしで大量に飲む(筋肉合成に使われない余剰タンパク質が増える)
太りにくい使い方
- 食事で不足したタンパク質を補う目的で使う
- 無糖・低糖質の製品を選ぶ
- 筋トレや運動と組み合わせる
代謝を上げる完全ガイドでも触れているが、筋肉量の維持は代謝を守る上で重要だ。プロテインはそのための手段になる。
FAQ
Q. プロテインは1日何杯まで飲んでいいですか?
A. 食事で摂れるタンパク質量を計算した上で、不足分を補う量が目安です。一般的に1日1〜2杯程度で十分なケースが多いですが、体重・活動量によって異なります。
Q. 女性がプロテインを飲むとムキムキになりますか?
A. なりません。女性は男性と比べてテストステロン(筋肉増加に関わるホルモン)の分泌量が約10分の1程度です。プロテインを飲んでも、男性のような筋肉はつきません。
Q. プロテインはいつ飲むのが効果的ですか?
A. 運動後30〜60分以内、または朝食時が効果的とされています。ただし総摂取量が重要なので、タイミングにこだわりすぎる必要はありません。
この記事のまとめ
- プロテインを飲むと太るという誤解は、カロリーの誤解・筋肉と脂肪の混同・糖質過多の製品選びから来ている
- タンパク質は消化・吸収に多くのエネルギーを使う(DIT20〜30%)ため、脂肪や糖質より体脂肪に変わりにくい
- 研究によりタンパク質は食欲を抑えるホルモンを増加させ、総摂取カロリーを下げる効果がある
- 太りやすいのはプロテインの成分ではなく「食事に追加する」「糖質多い製品を選ぶ」という使い方の問題
- 食事の不足分を補う目的で使い、低糖質の製品を選べばダイエットのサポートになる