日本人は欧米人より腹囲が17cm小さくても同じ量の内臓脂肪を持つと研究が示した。BMI正常・見た目が標準でも内臓脂肪が多い「隠れ肥満」が日本人に多く、腹囲85cm(女性90cm)が危険ラインだ。
痩せているのに健康診断で引っかかるのはなぜか
体重は標準、見た目も太っていない。なのに健康診断でメタボリックシンドロームや血糖値異常を指摘される——こうした経験をした日本人は少なくありません。
これは「体質の問題」でも「検査が厳しすぎる」わけでもありません。日本人には、欧米人と異なる脂肪の蓄積パターンがあることが、複数の研究で示されています。
同じ腹囲でも日本人の方が内臓脂肪が多いのはなぜか
日本と米国の複数施設を対象にした腹部CT画像解析研究では、驚くべきデータが示されています。
同じ腹囲サイズ(88.9〜96.8cm)のグループを比較したとき:
- 米国白人の内臓脂肪面積:85.5cm²
- 日本人の内臓脂肪面積:101.7cm²
つまり日本人は米国白人より腹囲が17cm小さくても、同等以上の内臓脂肪を持っている計算になります。
この事実は、日本のメタボリックシンドロームの腹囲基準(男性85cm)が、米国基準(102cm)より大幅に低く設定されている理由のひとつです。
なぜ日本人は内臓脂肪が蓄積しやすいのか
欧米人は余剰カロリーを皮下脂肪(皮膚の下)として蓄えやすい傾向があります。一方、日本人を含むアジア人は内臓脂肪(腸のまわり)に優先的に蓄積する遺伝的特性があると考えられています。
内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、見た目には分かりません。体重やBMIが正常でも、腹囲が基準を超えていなくても、内臓に多くの脂肪が蓄積していることがあります。
アジア人集団を対象にした研究(Genetic and Environmental Factors Contributing to Visceral Adiposity in Asian Populations, *Endocrinology and Metabolism*, 2020)でも、欧米人との比較で、アジア人は同等のBMIで内臓脂肪量が有意に多いことが繰り返し確認されています。
内臓脂肪が「見た目より危険」な理由
内臓脂肪は単に「腹まわりの脂肪」ではなく、代謝的に活発な組織です。
- 炎症性物質(IL-6・TNF-α)を分泌し、全身の慢性炎症を引き起こす
- アディポネクチン(抗炎症・インスリン感受性改善ホルモン)の分泌が低下する
- インスリン抵抗性を高め、血糖値のコントロールを悪化させる
- 心筋梗塞・脳卒中・2型糖尿病のリスクを独立して高める
見た目が「細い」日本人でも、内臓脂肪が多ければこれらのリスクは欧米の「太った人」と同等か、それ以上になることがあります。
内臓脂肪を確認する3つの方法
①腹囲を測る
へそまわりの腹囲が男性85cm・女性90cm以上でメタボリックシンドロームの基準に該当します(日本基準)。BMMIが正常でもこの基準に該当する人は、内臓脂肪過多のリスクがあります。
②ウエスト/身長比(WHtR)を計算する
ウエスト周囲径÷身長。0.5以上で内臓脂肪リスクが上昇するとされています。日本人の体型に比較的合った指標です。
③体組成計・CT検査
家庭用の体組成計(インピーダンス法)で内臓脂肪レベルを推定できます。より正確なのはCT検査(医療機関)ですが、人間ドックで計測できる場合もあります。
内臓脂肪を減らすには食事制限より運動が大事なのはなぜか
内臓脂肪は皮下脂肪より運動に反応しやすい特性があります。特に有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳)と筋トレを組み合わせることで、体重変化に先行して内臓脂肪が減少することが複数の研究で示されています。
食事では、精製糖質の制限・食物繊維の増加・アルコールの削減が内臓脂肪低下に有効です。
まとめ
日本人は欧米人より見た目が細くても、内臓脂肪が多い体質的な傾向があります。「体重が標準だから大丈夫」という安心感は、日本人には当てはまらない場合があります。腹囲・ウエスト/身長比を定期的に確認し、内臓脂肪を意識した食事と運動の習慣を持つことが、日本人には特に重要です。
参考文献
- Matsushita, Y. et al. (2010). Associations of visceral and subcutaneous fat areas with the prevalence of metabolic risk factor clustering in 6,292 Japanese individuals. *Diabetes Care*, 33(9), 2117–2119.
- Lear, S. A. et al. (2010). Ethnic variation in fat and lean body mass and the association with insulin resistance. *Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism*, 94(12), 4696–4702.
- Tchernof, A., & Despres, J. P. (2013). Pathophysiology of human visceral obesity: an update. *Physiological Reviews*, 93(1), 359–404.
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よくある質問
Q. 日本人の内臓脂肪の基準値はどのくらいですか?
A. 腹囲は男性85cm・女性90cm以上がメタボリックシンドロームの基準です。また腹囲÷身長が0.5以上で内臓脂肪リスクが上昇するとされています。体重が標準でもこの基準を超える方は注意が必要です。
Q. 内臓脂肪は自宅で測定できますか?
A. 家庭用の体組成計(インピーダンス法)で内臓脂肪レベルを推定できます。より正確にはCT検査(医療機関)が必要ですが人間ドックで計測できる場合もあります。
Q. 内臓脂肪を効率よく落とす方法はありますか?
A. 内臓脂肪は皮下脂肪より運動に反応しやすい特性があります。有酸素運動と筋トレを組み合わせると体重変化に先行して内臓脂肪が減少します。食事では精製糖質の制限・食物繊維増加・アルコール削減が有効です。
この記事のまとめ
- 日本人は欧米人より腹囲が17cm小さくても同じ量の内臓脂肪を持つことが研究で示されています
- 「体重が標準だから大丈夫」は日本人には当てはまらない場合があります
- 腹囲(男性85cm・女性90cm)とウエスト/身長比(0.5以上で危険)を定期的に確認しましょう
- 内臓脂肪は有酸素運動・筋トレ・精製糖質制限・食物繊維増加で効率よく減らせます