30代から太りやすくなるのは避けられない運命ではなく、筋肉量の低下・基礎代謝の減少・生活習慣の変化という3つの原因が重なるためと解明されている。筋トレ・タンパク質増加・睡眠確保で30代の体重増加は防げる。
30代から太りやすくなるのは老化のせいではなく、筋肉量の低下と活動量の変化が主な原因だ。つまり対策は可能であり、「仕方ない」は正確ではない。
「30代から代謝が落ちる」は本当か
「年をとると代謝が落ちる」というのは広く信じられている話だが、2021年にScience誌に掲載されたDuke大学の大規模研究が、この常識を大きく修正した。
この研究では29カ国・6421人のデータを分析した。結果として、基礎代謝(安静時のエネルギー消費)は20〜60歳の間でほぼ横ばいであることが示された。60歳以降は徐々に低下するが、30〜40代での劇的な代謝低下は確認されなかった。
つまり「30代で代謝が急落する」という感覚は、代謝そのものの変化ではなく、別の要因によって生じているということだ。
では30代で太る本当の理由は何か
①筋肉量の低下(サルコペニア)
20代後半以降、特別な運動をしなければ筋肉量は年に約1〜2%ずつ低下する。筋肉は安静時にも多くのエネルギーを消費する組織だ。筋肉が1kg減ると、1日の基礎代謝は50〜70kcal程度下がると推計されている。
学生時代から10年で3〜5kgの筋肉量が低下している人では、1日あたり150〜300kcal以上の基礎代謝低下が生じることになる。これは年間で換算すると5〜10kg分以上の差だ。
基礎代謝が低下する原因と対策でも詳しく解説しているが、筋肉量の維持が代謝を守る最大のポイントだ。
②日常活動量(NEAT)の低下
NEATとは、運動以外の日常活動(通勤・家事・歩行など)で消費するカロリーのことだ。就職・転職・育児などライフスタイルが変わる30代は、このNEATが学生時代と比べて大幅に低下している人が多い。
研究では、NEATは1日の総エネルギー消費量の15〜50%を占めるとされており、座りっぱなしの生活と活動的な生活では1日数百kcal以上の差が生じることもある。
③食欲調整ホルモンへの影響
ストレスが増える30代では、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が増えやすい。コルチゾールは食欲を増加させ、特に腹部への脂肪蓄積を促進する。学生時代と同じものを食べているつもりでも、ストレスや睡眠不足によって食べる量が増えていることもある。
ストレス食いと体重増加では、コルチゾールと食欲の関係を詳しく解説している。
なぜ「仕方ない」は正確でないのか
代謝低下の主な原因が「筋肉量の低下」と「活動量の変化」であるなら、これらは対策できる要因だ。
筋肉量の低下は筋トレで防げる・取り戻せる
筋肉は何歳になっても適切な刺激(筋トレ)と栄養(タンパク質)があれば増やすことができる。30〜40代の女性を対象にした複数の研究で、週2〜3回の筋トレを12週間続けることで筋肉量の増加と基礎代謝の向上が確認されている。
活動量の低下は意識的に増やせる
通勤をひと駅歩く、エレベーターを使わないなど、日常活動を意識的に増やすことでNEATは改善する。
代謝を上げる完全ガイドでは具体的な習慣についても紹介している。
30代の体重管理における対策の優先順位はどうすればよいか
30代からの体型維持で最も効果的な対策の順番は次の通りだ。
- タンパク質を十分に摂る(体重×1.2〜2.0g)
- 週2〜3回の筋トレを習慣にする
- 日常の歩行・活動量を意識的に増やす
- 睡眠の質を確保する(成長ホルモンの分泌・食欲ホルモンの調整に影響)
FAQ
Q. 30代から痩せることはできますか?
A. できます。30代での代謝低下は筋肉量と活動量が主な原因であり、対策が可能です。ただし20代と同じ食事制限だけでは筋肉が減り逆効果になりやすいため、筋トレと組み合わせる方法が効果的です。
Q. 代謝が低い体質というのはありますか?
A. 遺伝による基礎代謝の個人差はありますが、その差は数十kcal程度です。「体質で太りやすい」の多くは遺伝より生活習慣(筋肉量・活動量・食事の内容)の影響が大きいとされています。
Q. 30代で急に太り始めたのですが、病気の可能性はありますか?
A. 甲状腺機能低下症などホルモン異常でも体重増加が起こります。急激な変化や他の症状(疲労感・むくみ・便秘など)がある場合は一度医療機関での確認をおすすめします。
この記事のまとめ
- 2021年のScience誌掲載の大規模研究で「30〜60代の基礎代謝はほぼ横ばい」と示された
- 30代から太る主な原因は「筋肉量の低下」と「日常活動量(NEAT)の減少」だ
- 筋肉量は年1〜2%低下し、1kg失うと基礎代謝が50〜70kcal下がる
- コルチゾール増加による食欲増進と腹部脂肪の蓄積も要因になる
- 筋トレ・タンパク質摂取・活動量の維持で対策できるため「仕方ない」は正確ではない