日本人の約50%は食塩感受性を持ち塩分を減らすと血圧が下がるが、残り50%は感受性が低く減塩の効果が小さい。自分のタイプを見分ける方法と、食塩非感受性の人に有効なカリウム摂取・有酸素運動などの代替アプローチを解説する。
「塩分を控えているのに血圧が下がらない」人が半分いる
高血圧の対処として必ず言われる「減塩」。しかし一生懸命塩分を控えているのに血圧が変わらない——という経験をした人は多いです。
これには理由があります。食塩感受性(Salt Sensitivity)という体質の違いがあり、日本人の約50%は食塩摂取量の変化に血圧が敏感に反応しますが、残りの50%は感受性が低く、塩分を減らしても血圧への影響が小さいのです。
食塩感受性とは何か
食塩感受性とは、食塩摂取量の変化に対して血圧が大きく変動する体質のことです。
- 食塩感受性あり(Sensitive型):食塩を増やすと血圧が上がり、減らすと下がる。減塩の効果が大きい
- 食塩非感受性(Non-sensitive型):食塩摂取量が変わっても血圧変化が小さい
日本高血圧学会のデータでは、高血圧患者の50〜70%が食塩感受性を持つとされています。
食塩感受性になりやすい人にはどんな特徴があるのか
以下の特徴がある人は食塩感受性が高い傾向があります:
- 高齢者・閉経後の女性
- 肥満・内臓脂肪が多い人
- 糖尿病・慢性腎臓病がある人
- アフリカ系の人種(遺伝的傾向)
- 日本人(欧米白人より感受性が高めの傾向)
自分が食塩感受性かどうかを確かめる方法
最も確実な方法は、2週間の低塩食(1日6g未満)を試して血圧の変化を見ることです。血圧が5mmHg以上下がれば食塩感受性がある可能性が高い。変化が小さければ他のアプローチが必要です。
食塩非感受性の人が血圧を下げるにはどうすればよいか
食塩非感受性の人でも血圧が高い場合、以下のアプローチが有効です:
①体重を落とす(最も効果が大きい)
食塩感受性の有無にかかわらず、体重1kgの減少で血圧が約1mmHg低下します。肥満を伴う高血圧では体重管理が減塩より効果的なことがあります。
②カリウムを増やす
野菜・豆類・海藻を増やしてカリウム摂取を増やすことで、食塩感受性に関係なく血圧低下効果があります。
③有酸素運動
週150分の中強度有酸素運動は血圧を平均4〜9mmHg低下させます。食塩感受性の有無にかかわらず有効です。
④深呼吸・ストレス管理
コルチゾールが慢性的に高いと血圧が上がります。睡眠確保・ストレス管理が血圧改善につながります。
よくある質問
Q. 自分が食塩感受性かどうかを確かめる方法はありますか?
A. 2〜3週間厳格に減塩(1日6g以下)して血圧を毎日測定し、変化があるかを確認するのが簡易的な方法です。変化が大きい場合は食塩感受性が高い可能性があります。精密な検査は医療機関でのナトリウム負荷試験で確認できます。
Q. 食塩非感受性の場合、減塩は意味がないですか?
A. 減塩は食塩感受性がない場合でも、長期的な腎臓への負担軽減・胃がんリスク低下・骨密度維持などの効果があります。血圧への直接効果が小さい場合でも、カリウム増加・有酸素運動・体重管理など他のアプローチを組み合わせることが重要です。
Q. 高血圧の人は全員が食塩感受性ですか?
A. 日本高血圧学会のデータでは高血圧患者の50〜70%が食塩感受性を持つとされています。残り30〜50%は非感受性です。高齢者・肥満・糖尿病・慢性腎臓病がある人は食塩感受性が高い傾向があります。
この記事のまとめ
- 日本人の約50%は食塩感受性があり減塩で血圧が下がるが、残り50%は感受性が低く減塩の効果が小さい
- 食塩感受性が高い人は高齢者・肥満・糖尿病・慢性腎臓病がある人に多い傾向がある
- 食塩非感受性の場合はカリウム増加・有酸素運動・体重管理・深呼吸など他のアプローチが有効
参考文献
- Weinberger, M. H. (1996). Salt sensitivity of blood pressure in humans. *Hypertension*, 27(3), 481–490.
- 日本高血圧学会(2019). 高血圧治療ガイドライン2019.