コラム
同じものを食べても太る人がいる。基礎代謝が差を生むメカニズムと改善法代謝・体の仕組み

同じものを食べても太る人がいる。基礎代謝が差を生むメカニズムと改善法

1990年に発表されたMifflin-St Jeor式をはじめ、Harris-Benedict式・Katch-McArdle式の科学的根拠を比較解説。厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」のデータも踏まえ、TDEE計算まで網羅した専門性の高い代謝解説記事。

diet-app.jp 編集部·2026-05-12·20分で読める

1990年に発表されたMifflin-St Jeor式をはじめ、Harris-Benedict式・Katch-McArdle式の科学的根拠を比較解説。厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」のデータも踏まえ、TDEE計算まで網羅した専門性の高い代謝解説記事。

「同じものを食べているのに友達は全然太らない」「20代のころより少ししか食べていないのに体重が増えた」——こういう経験、アラサーになると増えてきますよね。

この差を生む最大の要因が基礎代謝(BMR)です。

でも「基礎代謝ってなんとなく知ってるけど、実際どう計算するの?」「あのアプリの数値って正確?」という疑問を持っている方も多いはず。この記事では、最新の科学的根拠をもとに基礎代謝の正しい知識と計算方法を、できるだけわかりやすく解説します。


この記事でわかること

  • 基礎代謝とは何か(シンプルに解説)
  • 最も精度が高い計算式の使い方と実例
  • 年齢・体型・体組成で代謝がどう変わるか
  • 「消費カロリー全体(TDEE)」の正しい算出方法
  • 基礎代謝を上げるために本当に効果があること

基礎代謝とは?ざっくり理解しよう

基礎代謝(BMR:Basal Metabolic Rate) とは、何もしないでじっとしているだけで消費されるカロリーのことです。

体温を保つ、心臓を動かす、呼吸する、細胞を修復する——意識しなくてもずっと動いている体の機能を維持するためのエネルギーが基礎代謝です。

ポイントは、基礎代謝が1日の消費カロリー全体の60〜70%を占めるということ。つまり、運動しなくてもそれだけのエネルギーを消費しているし、逆に言えば基礎代謝が落ちると「何もしていないのに太りやすい体」になるということです。

→ つまり? 基礎代謝を上げることが、ダイエットの効率を根本から変える最重要ポイント。


主要な計算式:どれが最も正確?

基礎代謝の計算式は複数あります。代表的な3つを比較してみましょう。

Harris-Benedict式(1919年)

最も古い計算式で、100年以上使われてきた古典的な方法です※2。

女性:BMR = 655 + (9.6 × 体重kg) + (1.8 × 身長cm) − (4.7 × 年齢)

ただし、現代人の体型や生活様式とのズレが指摘されており、精度に限界があります。

Mifflin-St Jeor式(1990年)

現在の栄養学・医療の現場で最も広く使われている式です。Mifflinらが1990年に発表した研究で、Harris-Benedict式より精度が高いことが示されています※1。

女性:BMR = (10 × 体重kg) + (6.25 × 身長cm) − (5 × 年齢) − 161

実際に計算してみましょう。身長160cm、体重55kg、30歳の女性なら:

BMR = (10 × 55) + (6.25 × 160) − (5 × 30) − 161

= 550 + 1000 − 150 − 161

= 1,239 kcal/日

Katch-McArdle式

除脂肪体重(筋肉・骨など脂肪以外の重さ)をベースにした計算式で、体組成がわかる場合に最も精度が高いとされています。

BMR = 370 + (21.6 × 除脂肪体重kg)

計算式発表年特徴精度
Harris-Benedict式1919年歴史的な基準値やや低い
Mifflin-St Jeor式1990年現在の標準高い※1
Katch-McArdle式体組成ベース体組成が分かれば最高

Roza & Shizgal(1984年)はHarris-Benedict式の精度を再評価し、現代人への適用に課題があることを指摘しています※3。

→ つまり? 計算するならMifflin-St Jeor式を使うのがベスト。アプリもたいていこれか近い式を使っています。


年齢・体型で代謝はどう変わる?

年齢とともに代謝が落ちる理由

Ravussinらの研究(1988年、NEJM掲載)では、代謝率が低い人ほど将来的な体重増加リスクが高いことを示しました※4。そして代謝は年齢とともに低下します。

主な理由は筋肉量の減少(サルコペニア)です。30代以降、何も対策しないと筋肉量は年間0.5〜1%ずつ減少すると言われており、筋肉が減ると基礎代謝も落ちます。

年代筋肉量の変化基礎代謝への影響
20代ピーク時期最も高い
30代緩やかに減少開始少し低下
40代減少が顕著に20代比で5〜10%低下
50代以降急速に減少さらに低下

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、年齢・性別・身体活動レベル別の「推定エネルギー必要量」が示されており、30代女性(ふつうの活動)では約2,000kcal前後が目安とされています※5。


TDEEとは何か、実際の消費カロリーはどう計算するのか

基礎代謝(BMR)はあくまで「何もしないときの消費量」。実際の1日の総消費カロリーはTDEE(Total Daily Energy Expenditure)と呼びます。

TDEE = BMR × 活動係数

活動レベル活動の目安係数
ほぼ動かないデスクワーク中心・運動なし1.2
軽く動く週1〜3回の軽い運動1.375
適度に動く週3〜5回の中程度の運動1.55
かなり動く週6〜7回の激しい運動1.725
活動レベル別のTDEE活動係数
ほぼ動かない1.2
デスクワーク中心
軽く動く1.375
週1〜3回の軽い運動
適度に動く1.55
週3〜5回の中程度の運動
かなり動く1.725
週6〜7回の激しい運動

先ほどの例(BMR 1,239kcal、デスクワーク中心)なら:

TDEE = 1,239 × 1.2 ≈ 1,487 kcal/日

これが1日に消費するカロリーの目安です。ダイエットなら1日あたりTDEEより300〜500kcal少なく食べることで、月1〜2kgの緩やかな減量ができます。


基礎代謝を上げる方法:本当に効果があること

1. 筋力トレーニング(最も効果的)

筋肉1kgの増加で基礎代謝が約13〜20kcal/日上昇すると言われています。週2〜3回の筋トレで半年〜1年継続することで、基礎代謝の底上げが可能です。

詳しくは筋肉量と基礎代謝の関係を参照してください。

2. タンパク質を増やす

タンパク質の「食事誘発性熱産生(TEF)」は約20〜30%で、炭水化物(5〜10%)や脂質(0〜3%)より圧倒的に高いです。同じカロリーでもタンパク質を食べると消費量が増えます。

栄養素別の食事誘発性熱産生(TEF)
タンパク質30%
消費量が最も多い
炭水化物10%
脂質3%

3. 食事回数を整える

長時間の絶食は体が「省エネモード」に入り、基礎代謝を下げることがあります。3食規則正しく食べることが代謝維持の基本です。

4. 冷えを改善する

体温が1°C上がると基礎代謝が約13%上がるとも言われます。冷え性とダイエットの関係も参考にしてみてください。


まとめ:基礎代謝で覚えておくべき3つのこと

  1. 基礎代謝は1日の消費カロリーの60〜70%を占める最重要ファクター
  2. 計算はMifflin-St Jeor式が最も精度が高い(アプリもたいてい使用)
  3. 加齢で落ちる代謝は「筋力トレーニング+タンパク質」で維持・向上できる

よくある質問

Q. アプリで計算された基礎代謝はどこまで信頼できますか?

A. ほとんどのアプリはMifflin-St Jeor式またはそれに近い式を使用しているため、目安としては十分に信頼できます。ただし個人差(体組成・ホルモン状態など)があるため、±10〜15%の誤差は想定しておいてください。

Q. 基礎代謝が低いと感じたらどうすればいいですか?

A. まず筋力トレーニングとタンパク質摂取の増加から始めましょう。また極端なカロリー制限(1日1000kcal以下)は代謝をさらに下げるため逆効果です。基礎代謝とアラサーの代謝低下も参照してください。

Q. 基礎代謝を計算したら思ったより低かったです。ダイエットはどうすれば?

A. まずTDEEを計算し、そこから300〜500kcal引いたカロリーを目安に食事を調整してください。急に減らすほど効果が出るわけではなく、緩やかな調整が長期的には効果的です。

Q. 体重が同じでも代謝が違う人がいるのはなぜですか?

A. 体組成(筋肉量と脂肪量の比率)が大きく影響します。同じ体重でも筋肉が多い人は基礎代謝が高く、脂肪が多い人は低くなります。体重より体脂肪率を意識することが重要です。


参考文献

※1 Mifflin MD et al. (1990) "A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals." Am J Clin Nutr, 51(2):241-247.

※2 Harris JA & Benedict FG. (1919) "A Biometric Study of Human Basal Metabolism." Proceedings of the National Academy of Sciences, 4(12):370-373.

※3 Roza AM & Shizgal HM. (1984) "The Harris Benedict equation reevaluated: resting energy requirements and the body cell mass." Am J Clin Nutr, 40(1):168-182.

※4 Ravussin E et al. (1988) "Reduced rate of energy expenditure as a risk factor for body-weight gain." NEJM, 318(8):467-472.

※5 厚生労働省(2020)「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

この記事のまとめ

  • 基礎代謝は1日の消費カロリーの60〜70%を占め、ダイエット成否を左右する最重要ファクターです
  • Mifflin-St Jeor式が最も精度の高い基礎代謝計算式で、ほとんどのダイエットアプリで採用されています
  • 加齢で落ちる基礎代謝は筋力トレーニングとタンパク質摂取で維持・向上できます
  • 体温が1°C上がると基礎代謝が約13%上がるため、冷え性改善もダイエットに有効です

※ 本記事の情報は一般的な健康・栄養知識の提供を目的としており、医療アドバイスの代替となるものではありません。 持病や治療中の方は、必ず医師・専門家にご相談ください。 本記事は編集ポリシーに基づき、一次情報と照合のうえ制作しています。

この記事をシェアする