コラム
日本人の腸内細菌が痩せを守る。欧米人との比較で見えた代謝の意外な差代謝・体の仕組み

日本人の腸内細菌が痩せを守る。欧米人との比較で見えた代謝の意外な差

日本人の腸内に多いブラウティア菌は脂肪蓄積を抑制する物質を産生します。早稲田大学・東京農工大学の研究で欧米人との腸内細菌の差が低肥満率に貢献していることが示されました。日本食が腸内環境を守る仕組みを解説します。

diet-app.jp 編集部·2026-05-12·7分で読める

日本人の腸内に多いブラウティア菌は脂肪蓄積を抑制する物質を産生します。早稲田大学・東京農工大学の研究で欧米人との腸内細菌の差が低肥満率に貢献していることが示されました。日本食が腸内環境を守る仕組みを解説します。

日本人はなぜ欧米人より痩せているのか

日本の成人肥満率(BMI30以上)は約4〜5%。同指標で米国が約42%、英国が約28%であることと比べると、日本人の肥満率の低さは際立っています。

食習慣・文化・活動量などさまざまな理由が考えられますが、研究が近年注目しているのが腸内細菌の違いです。日本人特有の腸内環境が、肥満を防ぐメカニズムに深く関わっていることが明らかになってきました。

日本人の腸内細菌に500万の遺伝子があるとはどういうことか

早稲田大学・東京農工大学などが参加した研究(2024年)では、健康な日本人の腸内細菌叢を大規模に解析した結果、約500万の遺伝子が発見されました。これは欧米人の腸内細菌研究と比較しても特徴的な多様性を示しています。

日本人の腸内細菌の特徴として挙げられるのは:

  • ビフィズス菌とブラウティア菌が優勢
  • 炭水化物・アミノ酸代謝に関与する酵素が豊富
  • 欧米人より古細菌が少ない

この多様性が高い腸内環境が、代謝の安定に寄与していると考えられています。

「ブラウティア菌」が脂肪蓄積を抑制するのはなぜか

なかでも特に注目されているのがブラウティア菌(Blautia)です。

東京農工大学などの研究グループが発表した知見では、ブラウティア菌がオルニチンアセチルコリンという物質を産生することが確認されています。これらの物質には脂肪細胞の肥大を抑制する働きがあり、内臓脂肪の蓄積を防ぐ効果が動物実験で示されました。

日本人の腸内にブラウティア菌が比較的多く存在することが、欧米人との肥満率の差の一因である可能性があります。

砂糖を食物繊維に変える細菌とはどんな細菌か

さらに新しい発見として、東京農工大学グループが2025年1月に発表した研究では、Streptococcus salivarius(唾液連鎖球菌)が砂糖(スクロース)を食物繊維様の物質(レバン)に変換することを確認しました。

砂糖をそのまま吸収させずに食物繊維に変えてしまうこの細菌が、肥満抑制に働いている可能性があります。この菌は日本人の口腔・腸内に広く存在していることも注目点です。

腸内細菌の多様性と肥満はどう関係しているのか

スタンフォード大学のWastykら(*Cell*, 2021)の研究が示すように、腸内細菌の多様性が高いほど代謝が安定しやすく、炎症が低くなる傾向があります。

日本人の腸内細菌の多様性が高い背景には、以下の食習慣が関わっていると考えられています:

  • 発酵食品の日常的な摂取(味噌・納豆・漬物・ヨーグルト)
  • 食物繊維の豊富な食事(海藻・根菜・豆類・玄米)
  • 魚を中心とした動物性タンパク質(飽和脂肪が少ない)

欧米型の食事(超加工食品・精製糖質・飽和脂肪が多い)は腸内細菌の多様性を低下させることが複数の研究で示されています。

日本人の「腸内環境の優位性」を失わないためにどうすればよいのか

現代の日本人の食生活は西洋化が進み、ファストフード・超加工食品・砂糖飲料の消費が増えています。これが日本人の腸内細菌の多様性を脅かし、肥満率の上昇に寄与している可能性があります。

腸内細菌の多様性を維持するための食習慣:

  1. 毎日発酵食品を食べる:味噌汁・納豆・ヨーグルト・ぬか漬けのいずれかを毎食に
  2. 食物繊維を毎食意識する:海藻・きのこ・根菜・豆類を意識的に加える
  3. 超加工食品を減らす:菓子パン・スナック・加糖飲料が腸内細菌を乱す
  4. 魚を週3回以上食べる:オメガ3脂肪酸が腸内の炎症を抑え、細菌多様性を支える

まとめ

日本人が欧米人より肥満率が低い背景には、発酵食品や食物繊維を中心とした伝統的な食習慣が育てた腸内細菌の多様性があります。ブラウティア菌など日本人に多い細菌が脂肪蓄積を抑制する働きを持つことも確認されています。この「腸内の優位性」は、食生活の西洋化によって失われていく可能性があります。


参考文献

  • 東京農工大学(2025). Streptococcus salivariusによる砂糖の食物繊維様物質への変換と肥満抑制効果. プレスリリース.
  • Wastyk, H. C. et al. (2021). Gut-microbiota-targeted diets modulate human immune status. *Cell*, 184(16), 4137–4153.
  • Sonnenburg, J. L., & Bäckhed, F. (2016). Diet–microbiota interactions in health are controlled by intestinal nitrogen source constraints. *Nature*, 535(7610), 56–64.

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よくある質問

Q. 日本人の腸内細菌は欧米人と本当に違うのですか?

A. はい。日本人はブラウティア菌など脂肪蓄積を抑制する細菌が多く腸内細菌の多様性が高い傾向があります。これは発酵食品・食物繊維・海藻・魚を中心とした伝統的な日本食が育てたものです。

Q. 腸内細菌を改善するには何をすればいいですか?

A. 毎日発酵食品(味噌・納豆・ヨーグルト)を摂る・食物繊維(海藻・きのこ・豆類)を意識する・超加工食品を減らす・週3回以上魚を食べることが効果的です。

Q. 日本食を食べると痩せられますか?

A. 日本食スコアが高いほど肥満率が低く心疾患リスクも下がることが国際比較研究で示されています。ただし日本食でもカロリーオーバーや超加工食品の多い食事では効果が薄れます。

この記事のまとめ

  • 日本人にはブラウティア菌など脂肪蓄積を抑制する腸内細菌が欧米人より多いことが研究で示されています
  • この腸内細菌の多様性は発酵食品・食物繊維・魚を中心とした伝統的な日本食によって維持されています
  • 現代の食生活の西洋化がこの腸内の優位性を失わせ日本人の肥満率上昇に寄与している可能性があります
  • 毎日発酵食品・食物繊維・魚を摂り超加工食品を減らすことが日本人の腸内細菌を守る最善策です

※ 本記事の情報は一般的な健康・栄養知識の提供を目的としており、医療アドバイスの代替となるものではありません。 持病や治療中の方は、必ず医師・専門家にご相談ください。 本記事は編集ポリシーに基づき、一次情報と照合のうえ制作しています。

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