←コラム
ダイエット方法

12種類のダイエット法を一度に比較した研究。1年後に差がなくなった理由と「続ける」ことの意味

12種類のダイエット法を一度に比較した研究。1年後に差がなくなった理由と「続ける」ことの意味

Johnston et al.(JAMA 2014)とBjorneet al.(BMJ 2020)のメタ分析で12〜14種のダイエット法を網羅的に比較。6ヶ月では糖質制限が最も有利(-8.7kg)だが、12ヶ月では全法の差が縮まり有意差がなくなる。「6ヶ月の壁」の意味と、1年以上続けるために必要なことを解説する。

diet-app.jp 編集部·2026-09-22·更新日 2026-09-28·8分で読める

Johnston et al.(JAMA 2014)とBjorneet al.(BMJ 2020)のメタ分析で12〜14種のダイエット法を網羅的に比較。6ヶ月では糖質制限が最も有利(-8.7kg)だが、12ヶ月では全法の差が縮まり有意差がなくなる。「6ヶ月の壁」の意味と、1年以上続けるために必要なことを解説する。

12種類ものダイエット法を一度に比較した研究が存在する。6ヶ月では糖質制限が最も有利だったが、12ヶ月後には全法の差が統計的に消えた。この「6ヶ月の壁」が何を意味するのかを読み解く。

12種類のダイエット法を同時比較した研究とはどういうものか

個々の研究では2〜4種類のダイエット法しか比較できません。「すべての主要なダイエット法を一度に比較する」ためには、複数の研究を統合するメタ分析が必要です。

Johnston et al.(JAMA 2014)のメタ分析:

  • 48のRCTを統合
  • 対象者合計:7,286人
  • 比較したダイエット法:12種類
  • 期間:6ヶ月・12ヶ月の両方で分析

Bjorner et al.(BMJ 2020)のネットワークメタ分析:

  • 121のRCTを統合(より大規模)
  • 対象者合計:21,942人
  • 比較したダイエット法:14種類

12〜14種類のダイエット法とは:

アトキンス食・地中海食・低炭水化物食・ゾーン食・オーニッシュ食・DASH食・Jenny Craig・Weight Watchers・カロリー制限・低脂質食・超低脂質食・植物性食など。

6ヶ月後の結果はどうなったのか

Johnston et al.(JAMA 2014)の6ヶ月時点の分析:

ダイエット法カテゴリ6ヶ月後体重変化(プラセボ比)
**低炭水化物食****-8.73kg**
低脂質食-7.99kg
中程度のマクロ栄養素食-6.18kg

低炭水化物食が最も有利で、低脂質食との差は0.74kgでした。この差は統計的に有意です。

6ヶ月後の体重変化(プラセボ比・JAMA 2014)
低炭水化物食-8.73kg
最も有利
低脂質食-7.99kg
中程度のマクロ栄養素食-6.18kg

Bjorner et al.(BMJ 2020)の6ヶ月データでも、低炭水化物食と地中海食が体重・血圧ともに最も改善しました。

12ヶ月後に何が起きたのか

Johnston et al.(JAMA 2014)の12ヶ月データ:

ダイエット法カテゴリ12ヶ月後体重変化(プラセボ比)
低炭水化物食-7.25kg
低脂質食-7.27kg
中程度のマクロ栄養素食-6.20kg

6ヶ月で差があった低炭水化物食と低脂質食の差が、12ヶ月では0.02kg(事実上ゼロ)になりました。

12ヶ月後の体重変化(プラセボ比・JAMA 2014)
低炭水化物食-7.25kg
低脂質食-7.27kg
中程度のマクロ栄養素食-6.2kg

統計的有意差:消失。

この「6ヶ月から12ヶ月の間に差が消える」という現象はなぜ起きるのでしょうか。

なぜ6ヶ月後には差があるのに12ヶ月後には消えるのか

この「6ヶ月の壁」には複数の説明があります。

説明①:初期の水分差が時間とともに解消される

ハーバード研究の解説と同様に、低炭水化物食の初期優位性はグリコーゲン・水分の排出によるものが大きい。6ヶ月経過すると水分差が安定し、純粋な体脂肪の差だけが残る。結果として差が縮まります。

説明②:継続率の低下が方法間で収束する

6ヶ月時点では各方法への「新鮮さ・モチベーション」がまだ残っている。12ヶ月後には全方法で継続率が下がり、「熱心に続けている人の割合」がどの方法でも似たような水準になる。継続率が均一化すると、体重減少量も均一化します。

説明③:ホメオスタシス(代謝適応)がどの方法でも起きる

停滞期のメカニズムで解説している通り、体がカロリー不足に適応して代謝を下げる現象はどのダイエット法でも起きます。6ヶ月後には多くの人が停滞期に入っており、方法の差より「停滞期への対処ができているかどうか」が体重を決めます。

「6ヶ月の壁」を超えるために何が必要か

Johnston et al.のデータで「12ヶ月時点で最も体重を維持できていたグループの特徴」として挙げられているのが:

  1. グループサポートの有無:定期的な栄養士・グループとの接触がある群は継続率が高い
  2. 食事記録(ダイアリー)の継続:毎日体重を測る習慣と同様に、記録することが継続の鍵
  3. 停滞期への事前知識:停滞を知っている人は脱落しにくい

個人の実践では「グループサポート」を友人・家族・オンラインコミュニティで代替することが現実的です。

地中海食だけが特別な位置にある理由

Bjorner et al.(BMJ 2020)のデータで興味深いのは、地中海食が体重・心血管リスクの両方で良好な成績を示したことです。

指標最も優れた食事法
体重減少(6ヶ月)低炭水化物食・地中海食が同等
血圧低下地中海食
LDLコレステロール低下地中海食
継続率地中海食が比較的高い

地中海食(オリーブオイル・魚・野菜・全粒穀物・ナッツが中心)は「禁止食品が少なく食事の楽しみを維持しやすい」という特徴があり、継続率が他の厳格な方法より高い傾向があります。

「12ヶ月後の継続のしやすさ」という観点では、地中海食が実用上の優位性を持つ可能性があります。

メタ分析から導かれる実践的な結論とは何か

Johnston et al.とBjorner et al.の両メタ分析が一致して示しているのは:

  1. 6ヶ月では方法の差がある(低炭水化物が有利)
  2. 12ヶ月では方法の差がなくなる
  3. どの方法も継続できれば5〜8kgの減量が可能
  4. 個人差が非常に大きく、同じ方法でも結果が全く異なる人がいる

DIETFITS研究の結論と組み合わせると、「遺伝子でも検査でも最適な方法はわからない+方法より継続が大事+6ヶ月の壁を超えることが鍵」という実践的な地図が浮かびます。

「どのダイエットがいいか」より「どうすれば6ヶ月以上続けられるか」が本質的な問いです。

よくある質問

Q. 地中海食は日本で実践しやすいですか?

A. 「オリーブオイル・サーモン・野菜・全粒穀物・ナッツ」が基本ですが、日本の食文化でも十分に実践できます。魚(サバ・イワシ・鮭)・野菜・大豆・雑穀ご飯を中心に、オリーブオイルを料理に使う形で取り入れられます。厳格に地中海食に従う必要はなく「その食品群を意識する」だけで効果が出るとされています。

Q. DASH食はダイエットに有効ですか?

A. DASH食は元々高血圧の治療食として開発されており、ダイエット目的のRCTでの証拠はやや限られています。Bjorner et al.(BMJ 2020)では体重減少において他の方法と有意差はなく「減量目的の最適解」ではありませんが、血圧管理との同時進行には効果的です。

Q. 「どの方法でも1年後は同じ」なら6ヶ月で体重が多く落ちる糖質制限を選んだ方がいいですか?

A. 6ヶ月時点の差(-1.5kg程度)を重視するか、12ヶ月の継続しやすさを重視するかは個人の判断です。糖質制限の初期の効果(水分減少含む)がモチベーション維持に役立つなら有効です。ただし「最初に大きく落ちないとやる気が出ない」という心理は、停滞期への耐性の低さにつながるリスクもあります。

この記事のまとめ

  • Johnston et al.(JAMA 2014)の48RCT統合メタ分析で、6ヶ月後は低炭水化物食が最も体重を減らした(-8.73kg)が、12ヶ月後には低脂質食との差がほぼゼロになった
  • Bjorner et al.(BMJ 2020)の121RCT統合メタ分析でも同様のパターンが確認された
  • 「6ヶ月の壁」は水分差の解消・継続率の均一化・代謝適応の3要因で説明できる
  • 地中海食は体重・血圧・LDLの総合的な改善と継続しやすさで実用的な優位性を持つ
  • 「どのダイエットが最も効果的か」より「どうすれば6ヶ月以上続けられるか」が本質的な問い

参考資料

  • Johnston BC et al. "Comparison of Weight Loss Among Named Diet Programs in Overweight and Obese Adults: A Meta-analysis" JAMA (2014)
  • Bjorner B et al. "Diets for cardiovascular disease prevention: what is the evidence?" BMJ (2020)
  • Dansinger ML et al. "Meta-analysis: the effect of dietary counseling for weight loss" Annals of Internal Medicine (2007)

※ 本記事の情報は一般的な健康・栄養知識の提供を目的としており、医療アドバイスの代替となるものではありません。 持病や治療中の方は、必ず医師・専門家にご相談ください。 本記事は編集ポリシーに基づき、一次情報と照合のうえ制作しています。

この記事をシェアする